「自殺って言えなかった」 ・・・ 自死遺児の活動と気持ち [ソノ他]
自殺って言えなかった / 自死遺児編集委員会, あしなが育英会
1.My Review Rank : ★★★☆☆ + 今考えよう
2.Published Data : ¥1365, 271Page,サンマーク出版,’02/10
3.Review Point : この本から、2点のことを考えたい.
<自殺しちゃいけない>
何でも、”死ぬほど”真剣にやらないと、大きな成果はないし、自分自身の成長も無い.
しかし、ビジネスでは、普段からストレスと上手く付き合う方法を考えていないと、ポジションや業務が変わり、いきなり強烈なストレスにさらされ続けると、最悪、”本当に”死を選ぶことになってしまう.
それを避けるために、日頃、自分でストレス・マネジメントを意識する事が大切だが、この本の自死遺児の方の作文を読むと、自分の子供や妻のために”絶対に自殺してはいけない”と強く思える.
自殺に対しては、「悪いこと」, 「個人の問題」, 「精神の病」, 「恥ずかしい死」 等の偏見が強いため、父親 或いは、夫を自殺で失った家族は、自殺を人に知られるのが怖くてたまらず、自分の悩み・悲しみを人に打ち明けたり、相談することが出来ずに苦しんでいる.
この本により、自死遺児の気持ちを初めて知り考える事が出来たが、一旦追い詰められた状態になってしまうと、正常に判断できなくなるため、今読むことを薦めます.
<自殺防止対策に関わろう>
自殺者数は1998年に初めて3万人を超え、その後、減少する傾向が見られない. よく比較されるが、自殺者数は交通事故死の約3.5倍にも達している.
交通事故の死者は、1970年の2万3千人をピークに、政府の対応や自動車メーカの安全対策などにより、減少し現在に至っているが、自殺防止に関しては、以下の様な例が実態.
・自殺に関するデータ(自殺後の家族への聞き取りなど)を持つ警察庁がそのデータを有効に使っていない(警察も殺人でないため、犯人を捕まえる必要がなく動きも遅い).
・厚生労働省のみで対策が進められている(縦割り行政の弊害).
・自殺者数の統計発表も夏頃と全く遅い(まだまだ関心が薄い).
会社でも産業医による 「職場でのメンタル・ケア」 等の講義が開催されるなど自分の身近でも自殺防止に関する取組みがいくつか見られる様になった. 自分自身と周囲の人間の直接の問題として真面目に考えると共に、政府の対応にも興味を持ってゆきたい.
4.Summury : 自死遺児編集委員の小林秀行氏は、文集を通じて3つの事を伝えたいと言っているが、読む人それぞれに十分伝わってくる.
①今、苦しんでいる人へ 「お父さん お母さん死なないで」
②社会のみなさんへ 「自死遺児を放っておかないで」
③自死遺児のみなさんへ 「ひとりぼっちじゃないよ」
自殺者の増加によって、自死遺児(20歳未満)は2000年に9万人に達している. 交通事故対策の流れを振り返ると、自殺防止についても、大きな流れが動き出したことが分かる.
交通事故防止が社会的に大きく進み出した契機は、1968年のTV番組の「桂小金治アフタヌーンショー」で、中島穣(みのる)君当時10歳が、泣きながら読んだ自作の詩で有る. マスメディアの影響力で、これが大きな反響を呼び、様々な対策が進みだした.
一方、自殺防止については、2000年4月に刊行された 「自殺って言えない」 が契機となり、2001年4月の全国9ケ所でのシンポジウムの開催, 同年10月のHNKクローズアップ現代への出演(実名と顔を公表する勇気) そして、同年12月には、代表者10名が首相官邸に小泉首相を訪問し自殺防止を訴える所まで動き出している.
上記の中島穣君の詩が載っていました. 読んだ記憶が有ります.
ぼくの大好きだった おとうさま
ぼくとキャッチボールをしたが
死んでしまった おとうさま
もう一度あいたい おとうさま
ぼくは おとうさまの写真を見ると
ときどきなく事もある
だけど もう一度あいたい おとうさま
おとうさまと呼びたい
けれど呼べない
どこにいるのおとうさま
もう一度ぼくをだいて おとうさま
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