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「すべての道はローマに通ず」 ・・・ 社会資本の考え方 [仕事]


ローマ人の物語 すべての道はローマに通ず / 塩野 七生
1.My Review Rank : ★★★☆☆ + 合理的
2.Published Data : ¥500, 238Page,新潮社,’06/09
3.Review Point : 本書は、全15巻予定の 「ローマ人の物語」 の 第10巻 の文庫本が出た(文庫本では、 第27巻, 28巻 ).
 「ローマ人の物語」の中で、第10巻は "ローマ人のインフラストラクチャー" に関して独立した巻で、この2冊だけでも読めるため紹介します.

 文庫本の第27巻, 28巻では 「街道」, 「橋」, 「水道」, 「医療」, 「教育」 の5分野について記述しているが、特に「街道」は、単純なため現代から見ても考え方は古くなく、また同時期に国家の大事業として建設された中国の万里の長城とも対比され面白い.
 万里の長城は、前3世紀の秦の始皇帝から16世紀の明の間を合計すると全長5千キロメートルに達する. 一方、ローマ人の街道は、前3世紀から後2世紀の間に幹線道で8万キロメートル、支線を加えると15万キロメートルに及ぶ.
 著者曰く、 「インフラストラクチャーほど、それを成した民族の資質を表わすものはない」 .

 両者は、形態は異なるが、共に "自国の防衛" のために建設されている. 万里の長城は、異民族との往来を遮断する ことを目的としたが、ローマ人の街道は、逆に 自国内の人々の往来を促進する ことを目的とした.
 ローマ人が街道を自国の防衛と考えた理由は以下の2点で、制覇した地域の住民を ローマに同化 することを目的とした点が中国と異なる.
1)軍団の迅速な移動
 制覇した地域に軍隊が常駐するのでなく、何か事が起きた場合には、軍隊が迅速に移動出来る体制を選択した. 敗者の地域に常駐する軍隊により、敗者の自治権を取り上げることをしなかった
2)輸送量の増大・効率化
 人と物の流通量が増大すれば、街道周辺の住民の生活水準が向上し、制覇した地域の経済的な不満を抑制した.

 ローマ人は規格化した街道を、北はイギリス, 南はチュニジア, 西はスペイン, 東はギリシャにわたり整備した. 街道は、4m超の車道とその両側に3mの歩道を持ち、道巾は10m超となる. また、車道と歩道との間には排水溝を持ち、1~1.5mの深さで4層構造で排水にも考慮している. 
4.Summary : .ローマ人が考えたインフラストラクチャーは、ハード面では、街道, 橋, 港, 神殿, 公会堂, 広場, 劇場, 円形闘技場, 競技場, 公共浴場, 水道、 ソフト面では、安全保障, 治安, 税制, 医療, 教育, 郵便, 通貨 とのこと. この内上記の主要な5項目は本書で言及し、その他の項目は、「ローマ人の物語」を通じて言及されているとのこと.

 本書の巻頭 或いは、巻末の写真は美しく、特に、「アッピア街道」 及び、各国に残るローマ街道 等、2千年の歴史を感じる. また、内容の性格上、図形, イラスト, 地図が多く面白い. また、著者曰く、学問は、専門化, 細分化するため、「ローマ人のインフラストラクチャー」なる著作はなく、本書は果敢に挑戦した書とのこと.

 *7月以降、記事が飛び飛びになり誠に申し訳ありませんでした. 引越し後ようやく落ち着きましたので、今後 及び、過去の空白を埋めるべく作成致します.


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