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「靖国問題」 ・・・ 理論的説明 [実用]


戦争を知らない人のための 靖国問題 / 上坂 冬子
1.My Review Rank : ★★★☆☆ + 日本人として知っておくべきこと
2.Published Data : ¥756, 186Page,文藝春秋,’06/03
3.Review Point : 毎年、夏になると、 「首相による "A級戦犯を合祀する靖国神社への参拝" の是非」 がマスメディアで議論されるが、どれも要領を得ない. その点に関し、筆者は全部で5点挙げているが、以下がポイント( 第8部 「戦犯問題゙、ここがポイント」 に有り).

①サンフランシスコ平和条約による日本独立
 1951年(昭和26年)9月8日 サンフランシスコ平和条約が調印され、日本は独立国家となった.
②平和条約25条
 この平和条約25条には、「この条約に署名・批准していない国には、この条約に関するいなかる権利も権限も与えない. また、これらの国により、日本の権利が減損され害されるものではない」 とある.
③平和条約署名・批准国
 この平和条約に署名・批准したのは、連合国48ケ国と日本だが、この48ケ国の中に、中華人民共和国も韓国も入っていない(中国は、台湾との代表権問題で、米英の意見が一致しなかったため、中・台共に召集されなかった).
④中国, 各国の発言権利
 中国, 韓国は、A級戦犯や靖国問題に対する発言権は全くない.

 また、中国, 韓国に堂々とした態度を取れない政府に代わって、なんと最後に 「政府声明書(案)」 まで有る(ここが面白い所). 上記の論点以外に4点有り.

1.いかなる事件であろうと、犯罪人と指名された人が裁判を受けて判決通り処刑された場合、原則として事件は決着する.
2.1951年サンフランシスコ平和条約調印の1ケ月後に、既に吉田茂首相及び、閣僚が"独立日本の公式行事"として靖国参拝をしている.
3.1952年 日本は、戦死者, 戦傷病死者, 戦犯刑死者を差別をつけずに扱うことを決議している.
4.第2次世界大戦当時、それぞれの国に交戦権があり、他国に対する武力行使を犯罪とする国際法は存在しなかった(東京裁判判事のパール博士(インド)).したがって、そもそもA級戦犯の「平和に対する罪」は犯罪に該当しない.
4.Summary : そもそも戦犯とは、以下の様にクラス分けされ、終戦後、国内外で戦犯として命を落としたのは1068人に及び、その内、A級戦犯として巣鴨プリズンで絞首刑となった者が7名. また、A級戦犯を裁いたのが、戦勝国11ケ国による「東京裁判」で、B, C級戦犯を裁いたのが横浜地裁とのこと.
  A級戦犯:平和に対する罪を問われる者.
  B級戦犯:捕虜虐待の監督,命令等に当たった者.
  C級戦犯:それらを具体的に実行した者.
 しかしながら、1950年(昭和25年)4月7日を最後に、以降いっさい行われていない. 米国は、この年の6月25日に勃発する朝鮮戦争へ日本の協力を得るため、処刑を中止した(所詮この程度の裁判だった).

 戦勝国による一方的な裁判に対しては、サンフランシスコ平和条約11条には、「日本は、東京裁判の"判決"を受け入れるべし」と有る、日本としては、処分は粛々と実行する必要が有るが(実際に実行したが)、戦犯裁判そのものについての討議 或いは、日本での戦犯の扱いは自由である.
 政治家, 著名なコメンテーターが眉間にシワを寄せて議論する 「靖国問題」に対して、著者は軽妙な語り口であっさりと論点を明確にしている所が爽快.

 先週、本書の中で紹介されている 靖国神社内の「遊就舘」に行ってきました. 貴重な戦争の遺産を後世に残してゆくと共に、マスメディア・教育は、日本人が、中国, 韓国に文句を言われても自分の考えをハッキリ言える様に、上記の様な解釈も、事実は事実として、キチンと伝えるべき.


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