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「You Tube革命」 ・・・ 映像の流通革命 [仕事]


You Tube革命 ~ テレビ業界を震撼させる「動画共有」ビジネスのゆくえ / 神田 敏晶
1.My Review Rank : ★★★★☆ + テレビCMビジネス崩壊
2.Published Data : ¥735, 176Page,ソフトバンク・クリエイティブ,’06/12
3.Review Point : 今年の最後の記事は、来年更に注目を集めるであろう YouTube (動画共有サイト)について. YouTube は既得権にしがみ付いている日本のテレビ業界 及び、音楽業界のビジネス・モデルを破壊し、本当に息の根を止めるかもしれない.

<驚異的なアクセス数> 米国の調査会社(コムスコア・メディアメトリクス)の発表によると、’06年7月の世界の YouTube のユニーク・ユーザは6341万人(うち米国内1608万人),1日当り620万人が訪れアクセス数は全Webサイト中17位. YouTubeでのVideo閲覧数は世界全体で29億7500万回に達する(1億回/日). 英語版のみのサービスで有りながら、日本からも月間734万人(06年09月)がYouTubeへアクセスしている. この圧倒的なアクセスが YouTube の強み.

1) YouTube がブレイクした理由と環境
 YouTube の人気の理由は、 「自分の見たい動画を検索 し、何時でも、何処でも容易に 視聴するのみでなく、投稿 する事を可能にした」 ため.

 ①情報検索の利便性 : Google等で情報を検索する事が浸透(検索の対象がテキストから映像へ変化, 情報とは一部の権威者に属するものでなく、InterNet上で共有・活用して意味が有る).
 ②情報発信の魅力 : Blogの普及により、自ら情報発信する楽しさ に多くの人が気付いた.
 ③高速通信の普及ブロード・バンドの普及により、大容量の動画をハンドリングする環境が整った(その他、ハード・ディスクの価格破壊やパソコン・動画処理ソフトの進歩も含む). YouTube へ日本から多量にアクセスが有るのは、日本のブロードバンド環境が進んでいるため.
 ④動画流通の硬直性 : 著作権を盾にテレビ番組等は、厳しく保護されてきた. 視聴者は、番組を見るために、放送される時間にテレビの前に居る事を強いられる. これが非常に理不尽な事に皆が気付いた(ビデオ録画は、あくまでも個人での保存が主目的).

2) 日米のYouTube に対する反応の差
 06年10月20日、日本の民法各社,NHK,JASRAC(日本音楽著作権協会)が、 YouTube に対して約3万件の違法な投稿の削除を依頼した(日本の音楽著作権団体は、いまだに、売れ行き不振の原因はInterNetでの違法なファイル・コピーに有ると考えている). これに対して、米国では、 YouTube との共生の動きが活発となっている.

 ・米NBC : 06年02月 自社の人気番組の削除を YouTube に申し立てたが、06年06月には、一転して YouTube との協力関係を発表した.NBCの夜の人気番組は「 YouTube コーナー」とのこと. 逆に、 YouTube 上に「NBCチャンネル」を設けプロモーションを予定する.
 ・ワーナー・ブラザーズ :  YouTube と提携し、同レーベルが権利を保有する音楽ビデオを無料で配信出来る様にした.
 ・UMG : 所属アーティストの作品をユーザが YouTube へ投稿出来る様にすると発表.
 ・SONY BMG : ストリーミング広告での提携を目指す.
 ・米ワーナー・ミュージック :  YouTube 上に「パリス・ヒルトン・チャンネル」を開設.   等々.

 以下の著者の言葉は、惰眠を貪っている日本の放送業界に対する警鐘.
 「動画共有サービス」は、ユーザ・ニーズが有るから流行する.ただ違法コピーを保存する事とは全く異なり、共有される事で新たな視聴者を獲得出来る.今まで視聴されなかった番組に再度光が当たる. テレビ局は、今戦略を誤ると2011年のアナログ放送停止の前に破綻してしまう可能性も有る.

4.Summary
 :
 
1) YouTube の特徴
 Googleは、16億5000万㌦(約1980億円, 06年11月13日手続き完了)の破格の価格で YouTube を買収した. 現在、YouTube が他の動画共有サイトに対して差別化している特徴は以下. 一言で言えば、 「ユーザ・フレンドリーなコミュニケーション機能」.

 ①投稿機能 : 無料大容量(容量100MB,制限時間10分)の動画をアップ・ロード可能.
 ②タグ機能 : 「タグ」(映像に関連したキーワード)により、映像の検索が可能(ユーザが主観でタグを付けてコンテンツを分類する事を、Folk「民衆」とTaxonomy「分類学」との造語でFolxonomyと呼ぶ). 逆に言えば、検索出来ない映像は、誰にも存在を気付かれない無価値なもの.
 ③共有機能 : YouTube の気に入った動画のURLをMailで紹介出来る「Share」機能, SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)的に仲間と動画を共有出来る「My Groups」機能, 動画によるトラック・バック機能 等 コミュニケーション機能が豊富.
 ④ブログ・スフィア機能 : YouTube の動画を手軽に自分のWebサイトやBlogに映像を貼り付けることが可能. 影響力の有るBlogger(アルファ・ブロガー)が YouTube の画像を自分の貼り付けてBlogに貼り付けて、 YouTube がブレイクした.
 ⑤控えめな宣伝 : 目当ての動画を見る前に強制的にCMを見せられること(プリロールCM)やバナー広告の有るTopPageへ強制リンクさせられることがなく、ユーザの心情・利便性を優先している.
 ⑥おおらかな著作権保護対応動画を削除するタイミングとバランスが絶妙のため人気を支えた(当初はスタッフ不足で削除する暇が無かった).

2)ネガティブな動画を好む日本人
 日本で、 YouTube が広く知れ渡ったのは、極楽とんぼ山本圭一 の少女への暴行容疑に対して、相方の加藤浩次が涙ながらに謝罪したテレビ番組が YouTube へアップされ(約2分の動画)、アクセスが殺到したため. 現在も、 YouTube で「極楽とんぼ」と検索すると、当動画やトラック・バックの動画も見れる.


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